骨・軟骨研究の基礎と臨床
臨床編 骨・軟骨疾患の予防・治療の現状と将来(4)生物学的製剤を中心とした骨・関節疾患治療の新展開
THE BONE Vol.22 No.3, 153-157, 2008
生物学的製剤の台頭は, 代表的な骨・関節疾患である骨粗鬆症と関節リウマチ(RA)の治療におけるパラダイム・シフトを齎した. 生物学的製剤は, 生体内から産生される物質を利用した薬剤である. たとえば, 破骨細胞分化誘導因子であるRANKLも, 生物学的製剤による治療の標的となった. 骨粗鬆症患者に対しては, 抗RANKLヒト型抗体であるデノスマブの6ヵ月ごとの皮下注射により, 骨吸収抑制効果が認められ, 新しい治療法として注目される. また, TNFαはRAの関節破壊に至る病態形成過程において極めて重要な役割を担う. TNFを標的とした生物学的製剤は, RAの治療目標を, (1)寛解導入, (2)関節破壊抑制, (3)生命予後の改善, へとパラダイム・シフトした. このように, 特定の標的分子制御を目的とした生物学的製剤は, 骨疾患治療の選択肢を広げるだけでなく, 骨粗鬆症とRAを含むさまざまな骨・関節疾患の病態形成過程を再考する契機となっている.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。