骨・軟骨研究の基礎と臨床
臨床編 骨・軟骨疾患の現状と将来(6)悪性腫瘍に伴う骨疾患(転移性骨腫瘍と高カルシウム血症)
THE BONE Vol.22 No.3, 115-120, 2008
高カルシウム血症は悪性腫瘍随伴症候群のなかでも最も高頻度なものの一つであり, 末期癌患者においては10~20%に認められる. 高カルシウム血症は腎不全, 意識障害をきたし死に至る. 一方, 骨は悪性腫瘍が最も高頻度に転移する臓器の一つである. 腫瘍細胞転移による骨破壊は疼痛, 病的骨折, 高カルシウム血症, 神経麻痺などをきたして患者のQOLを悪化させる. 破骨細胞による骨吸収の亢進が癌に伴う骨疾患の形成と進行に必要なことが明らかになっている. 腫瘍細胞は種々の破骨細胞刺激因子を分泌し, 破骨細胞は腫瘍細胞が増殖する空間を作るとともに, 骨基質から種々の増殖因子を放出し腫瘍細胞の増殖を刺激する. したがって, 破骨細胞を標的にした骨特異的薬剤が悪性腫瘍に伴う骨疾患に有効と考えられる. 破骨細胞の特異的阻害薬であるビスフォスフォネートは高カルシウム血症の特効薬であり, また悪性腫瘍骨転移や骨髄腫の骨病変に伴う骨痛や骨合併症を減少させることが明らかになっている. さらに種々の骨特異的薬剤の臨床試験が施行中である.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。