<< 一覧に戻る

骨・軟骨研究の基礎と臨床

臨床編 骨・軟骨疾患の現状と将来(3)慢性腎臓病のミネラル・骨代謝異常

伊藤純深川雅史

THE BONE Vol.22 No.3, 99-102, 2008

腎臓は, 副甲状腺, 骨, 小腸とともに, 骨・ミネラル代謝において重要な役割を果たす器官であり, 腎機能の低下はその恒常性を著しく損なう. 近年, 腎臓病患者の骨ミネラル代謝異常に関する研究は飛躍的な進歩を遂げている. たとえば, 二次性副甲状腺機能亢進症に対する新薬の開発, リン代謝調節因子である線維芽細胞成長因子23(FGF23)の同定, および骨の副甲状腺ホルモンに対する抵抗性獲得のメカニズムの解明である. さらに, 腎不全は副甲状腺機能異常と骨病変ばかりでなく, 血管壁などに石灰化を引き起こし, その結果, 心血管疾患の発症リスクおよびそれに伴う死亡率を高めることが明らかにされてきた. そのため, 2006年, Kidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)は, 異所性石灰化を含む総括的な概念として「慢性腎臓病のミネラル・骨代謝異常(CKD-MBD)」を定義した. 同時に, 従来の腎性骨異栄養症(ROD)は骨生検により明らかにされる骨病理学的変化に限定して用いられるように再定義された. また, 診療ガイドラインは, 血管石灰化と生命予後の改善を重視したものへと変更された. 今日の臨床現場において大きな問題となっているCKD-MBD, 特に二次性副甲状腺機能亢進症および無形成骨の克服およびそれら患者の予後改善のためには, さらなる基礎研究および治療戦略の発展が必要である.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る