骨・軟骨研究の基礎と臨床
臨床編 骨・軟骨疾患の現状と将来(1)骨粗鬆症の臨床における現状と将来
THE BONE Vol.22 No.3, 87-91, 2008
骨粗鬆症の概念と定義は臨床診療を考慮しながら発展していく. 現在のところ, 骨の質を測定する正確なパラメータはないが, 今後さらなる研究により有効な測定方法が開発されると思われる. 骨折リスクの評価は臨床データの解析によりなされるべきである. 最近, WHOの国際共同研究グループは今後10年間における大腿骨頚部ならびに4つの主要骨粗鬆性骨折の絶対骨折発生率を得ることができる骨折リスク評価ツール(FRAx(TM))を作成した. また, このプログラムは日本人用のFRAX(TM)を選択して用いることができることから, わが国でも広く利用されると思われるが, 臨床的有意性は骨粗鬆症の診断基準および予防と治療のためのガイドラインに採用されるべきである. 近年, 骨吸収抑制薬は豊富なエビデンスにより骨粗鬆症治療薬の主要薬剤の地位を確立し, さらに新しい作用機序を有する薬剤もいくつか開発中である. わが国では, 骨粗鬆症治療薬に関する医師主導型の大規模臨床研究を可能にするべく, 骨粗鬆症至適療法研究会(A-TOP研究会)が設立された. この研究会の活動により骨粗鬆症の分野において新しいエビデンスが蓄積されていくことが期待される. さらに, わが国では骨粗鬆症の啓発のためにいくつかのボランティア活動が地道に続けられており, これらの活動が骨粗鬆症予防に役立つことが期待される.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。