骨・軟骨研究の基礎と臨床
基礎編 トピックス(2)骨と腎臓を結ぶFGF23の役割
THE BONE Vol.22 No.3, 77-80, 2008
線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor:FGF)23は, 腎近位尿細管リン再吸収を抑制するとともに, 1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管リン吸収の抑制から, 血中リン濃度を低下させる. FGF23作用の過剰や障害により, いくつかの低リン, および高リン血症性疾患が惹起されることが明らかにされた. FGF23は骨細胞により産生され, 腎臓でKlotho-FGF受容体複合体に作用することにより, その作用を発揮する全身性因子である. 「はじめに」骨は, 骨芽細胞が産生する基質蛋白に, ハイドロキシアパタイト結晶が沈着する石灰化を経て, はじめて硬組織としての機能を発揮できるようになる. この骨石灰化の機序や調節機構には, 現状でも不明な点が多く残されている. 一方臨床的には, 主に慢性の低リン血症により, 骨石灰化障害を特徴とする, クル病や骨軟化症が惹起されることが知られている. したがって, 血中リン濃度が維持されていることは, 骨石灰化にとって必要条件の1つであると考えられる.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。