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わが国における骨代謝研究のあゆみ

ODF/RANKLの発見が齎したもの

高橋直之宇田川信之

THE BONE Vol.20 No.5, 53-59, 2006

ODF/RANKLの発見により, 破骨細胞に関する研究は一変し, 破骨細胞の分化調節機構は分子レベルで説明できるようになった. また, 免疫学との関連性が明らかとなり, 骨代謝学と免疫学を融合させた新しい研究領域「骨免疫学」も確立された. さらに, RANKL阻害を目的に骨粗鬆症治療薬も開発されつつある. 一方, 新たな疑問も提起された. 【はじめに】破骨細胞の分化は, 骨芽細胞により調節される. 1990年, op/opマウスの解析より, 骨芽細胞の産生するM-CSF(macrophage colony-stimulating factor)は, 破骨細胞分化に必須な因子であることが発見された. さらに, 1998年, 骨芽細胞が発現する破骨細胞分化にかかわるもう一つの因子, 破骨細胞分化因子(osteoclast differentiation factor:ODF)がクローニングされた. ODFは, すでに報告されていたRANKL(receptor activator of NF-κB ligand)と同一分子であった1)2). 骨芽細胞は活性型ビタミンD3[1α, 25-(OH)2D3]などの骨吸収因子の刺激に応じてRANKLを細胞膜上に発現する. 破骨細胞前駆細胞はRANKL受容体RANKを発現しており, 骨芽細胞との接触を介してRANKLを認識し, M-CSFの存在下で破骨細胞に分化する. また, 成熟破骨細胞もRANKを発現しており, RANKLからの刺激を受け骨吸収活性を発現する.

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