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わが国における骨代謝研究のあゆみ

BMPと骨代謝

片桐岳信福田亨野島淳也鹿又一洋

THE BONE Vol.20 No.5, 45-51, 2006

今日, BMPs(bone morphogenetic proteins)は, 骨代謝のみならずさまざまな生命現象において重要な役割を果たす成長因子として知られている. なおかつ, その名が示すように, BMPは骨代謝研究領域で発見された因子の一つで, 今日でも最も強力な骨形成因子の一つである. 最近の一連の研究結果は, BMPが異所性の骨誘導因子として臨床応用が可能なばかりでなく, 骨代謝における重要な生理的調節因子の一つであることを強く示唆している. 【はじめに】1965年, 整形外科医のUrist1), は, 酸で脱灰した骨基質が異所性骨形成を誘導することをScienceに報告した. このときの彼の研究目的は, 骨基質の石灰化の過程を調べることで, そのためにリン酸カルシウムの結晶を除去(脱灰)した骨を移植したという. ところが, Uristが観察したものは骨基質の「再石灰化」ではなく, 軟骨細胞や骨芽細胞が出現して最終的に骨髄を伴う「骨形成」であった. Uristは, すでに1965年の論文の中で, この脱灰した骨を骨欠損部に移植して骨再生に応用できることを指摘している. このUristが発見した「骨誘導活性」の本体がBMP(bone morphogenetic protein)であり, 発見当初より臨床応用が期待された. しかし, 世界中の研究者の努力にもかかわらず, その活性本体の解明にはさらに四半世紀もの時間を待たなければならなかった.

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