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わが国における骨代謝研究のあゆみ

PTHrPと軟骨形成

網塚憲生李敏啓

THE BONE Vol.20 No.5, 39-44, 2006

副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)は, 1940年代に副甲状腺ホルモン(PTH)様の物質としてその存在が示唆され, 1980年代にクローニングされている. PTHrPは, 当初, 原癌遺伝子として認識されていたが, その後に軟骨形成に関与すること, 核小体移行を行うこと, 骨芽細胞のsurvival因子として作用することなどが明らかにされてきた. ここでは軟骨に関与するPTHrP研究の20年を振り返ってみたい. 【はじめに】副甲状腺ホルモン関連ペプチド(parathyroid hormone-related peptide:PTHrP)については, Fuller Albrightが1941年に高カルシウム血症を誘導するPTH様の物質の存在を示唆しているが, 長年, その実態が明らかにされてこなかった. PTHrPの存在が初めて明らかにされたのは, 1980年のStewartらの報告であり, その後, PTHrPに関する多数の論文が報告されている. PTHrPは, 発見の経緯から腫瘍に関連した報告がほとんどであったが, PTHrPがさまざまな場所で発現されていることや1991年にクローニングされたPTH/PTHrP受容体(PTH1R)が明らかになると, その研究がさらに飛躍することとなった. 軟骨研究においては, PTHrP遺伝子欠損マウスが軟骨異形成症様の異常を示すことから, PTHrPは軟骨形成に重要な役割を担うことが決定づけられた.

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