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わが国における骨代謝研究のあゆみ

軟骨研究の流れ

秋山治彦

THE BONE Vol.20 No.5, 33-37, 2006

わが国における近代軟骨研究は生化学的手法を用いた軟骨基質の研究に始まる, いわゆる“軟骨代謝研究”である. 細胞培養系の確立を経て, 1990年代に入り, 分子生物学, 細胞生物学, 発生生物学, 遺伝学などの新しい研究手法が次々に導入された. 加えて, 高齢化社会を迎え一般の人々の変形性関節症への関心が高まったこともあり, 軟骨研究は飛躍的な進歩を遂げてきた. ここで過去の偉業を振り返り, 次の軟骨研究の発展に繋げていきたい. 【はじめに】我々人間が立ち, 歩き, そして走ることができるのは, 骨格によって地球の重力に抗して姿勢を保持することができるからである. 骨格は“骨”という硬い組織で作られているが, 胎生期にはまず“軟骨”が作られ, 徐々に骨に置換されるのである. また, 軟骨は成長軟骨板で骨格の成長に携わり, また, 骨と骨の継ぎ目に関節軟骨として存在し, 円滑な運動に寄与している. “軟骨”という言葉は前野良澤によって命名され“解体新書”で用いられたのが最初とされている. 20世紀, わが国の近代軟骨研究は軟骨基質を構成するプロテオグリカンの合成, 分解の生化学的解析より始まり, この研究の流れは現在も継承されている.

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