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骨形成・骨吸収の最近のトピックスⅣ

骨吸収・骨形成の相互作用 OPGによる骨代謝制御(OPG遺伝子欠損マウスを用いたカップリング制御の研究について)

中村美どり宇田川信之山本洋平中村浩志

THE BONE Vol.20 No.3, 67-74, 2006

骨形成の亢進に先立って必ず骨吸収の亢進が認められることより, 骨吸収と骨形成が共役していることは予想されてきた. RANKLのデコイ受容体であるオステオブロテゲリン(OPG)の遺伝子欠損マウスは, 骨吸収とともに骨形成も著しく亢進している. すなわち, OPG遺伝子欠損マウスは高い骨代謝共役状態にあることが示唆された. そこで, OPG遺伝子欠損マウスに骨吸収阻害薬であるビスフォスフォネートを30日間連日投与し, 骨吸収と骨形成を評価したところ, 骨吸収の抑制に伴い骨形成も完全に抑制された. この結果は, 骨吸収と骨形成が厳格に共役していることを示すものであり, 骨代謝共役を司る因子(カップリング因子)が実在することを示唆している. また, OPG遺伝子欠損マウスに対する骨誘導因子(BMP)の移植実験から, 破骨細胞形成には石灰化硬組織は必ずしも必要ではないことが明らかとなった. そして, 全身性の可溶型RANKLよりも局所で発現するRANKLが破骨細胞の分化に重要であることが示された. 骨芽細胞は, 全身性の可溶型RANKLを局所で利用可能にするなど, 破骨細胞形成のための微細環境を提供するために重要な役割を果たしているものと考えられる.

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