骨形成・骨吸収の最近のトピックスⅣ
特集にあたって
THE BONE Vol.20 No.3, 15-16, 2006
いったん形成され成熟した骨組織の形態は, 骨形成と骨吸収との巧妙なバランスの元に維持される. この維持機構は骨リモデリングと呼ばれるが, リモデリングにおいて形成と吸収は独立に生じるのではなく, 吸収相から逆転相を経て形成相へと推移する連続したプロセスであり, 有機的に関連した過程として捉えることができる. 形成相においては間葉系幹細胞に由来する骨芽細胞が, 吸収相では造血系細胞から分化する破骨細胞が中心的な役割を果たす. したがって, 形成と吸収との相互作用とはすなわち, 骨芽細胞と破骨細胞とが連携しながら機能するということを示しており, これを説明するためには一方の細胞が作り出す何らかの因子(あるいは「場」)が他方の細胞に作用して活性化(あるいは不活性化)するというモデルを想定しなければならない. このような因子とは, 骨芽細胞が産生する破骨細胞分化活性化因子, そして破骨細胞による骨吸収によって産生される骨形成促進因子であり, 骨組織の恒常性を保つための基本マシーナリーと考えられる. 仮説として提唱されていたこれらの分子が実体として同定されるまでには, しかしながら多くの時間と労力が必要であった.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。