特集 がんゲノム医療の現状と展望
がん診療の最前線~ゲノム医療、個別化治療、臨床試験~ 非小細胞肺がん治療の最前線
Pharma Medica Vol.41 No.2, 41-47, 2024
非小細胞肺がん(NSCLC)は、ドライバー遺伝子変異がある場合には遺伝子変異に対応した治療、ドライバー遺伝子変異がない場合には免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を含む治療が初回治療として行われ、治療開発もこの2つの集団では異なる。遺伝子変異陽性例では、EGFR変異が発見されて以来、多くの遺伝子が治療対象になった。また、チロシンキナーゼ阻害薬が広く開発されてきたが、近年の創薬技術の進歩により、抗体薬物複合体やアロステリック酵素阻害薬も臨床使用されている。本稿では特に進歩が目覚ましいKRAS遺伝子変異陽性NSCLCの開発について解説する。また、遺伝子変異陰性例では初回治療としてPD-1/L1阻害薬を含む治療が行われ、一部は長期の奏効を得るが、多くの症例は増悪する。そのため、PD-1/L1治療を増強するような試みがなされている。本稿ではTIGITとTROP2について解説する。
「KEY WORDS」NSCLC,KRAS,免疫チェックポイント阻害薬
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。