特集 移植医療の最前線
造血幹細胞移植
Pharma Medica Vol.40 No.3, 7-11, 2023
同種造血幹細胞移植は白血病などに対し年間約3,700例実施されている。少子化により、骨髄バンク、臍帯血バンクを介した非血縁者間移植がその3分の2を占める。最近、移植後大量シクロホスファミド法による血縁者間ヒト白血球抗体(human leukocyte antigen:HLA)半合致移植が開発され、より多くの患者に移植を提供できる体制となった。
移植後の移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)や感染症などの合併症対策にも新規治療法が導入され、移植関連死亡率の低下、QOLの向上がみられている。白血病の移植後再発には免疫逃避が関連しており、免疫系を賦活させる治療法や維持療法が開発されつつある。一方、ドナーに対する利便性の向上も図られている。近年は、血液がんに対する新規治療薬の開発が相次ぎ、移植を含めた集学的治療によって、難治性血液疾患の治療成績向上が期待される。
「KEY WORDS」末梢血幹細胞移植,臍帯血移植,骨髄バンク,GVHD,HLA半合致移植
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。