<< 一覧に戻る

特集 最近の話題と将来展望 ~腫瘍内科、血液内科、自己免疫疾患、循環器内科、神経内科領域~

自己免疫疾患領域

川畑仁人

Pharma Medica Vol.40 No.1, 31-34, 2023

自己免疫疾患の治療はこの20年間で大きな変化を認めている。グルココルチコイド中心の治療から、ミコフェノール酸モフェチルやタクロリムスなどの免疫抑制薬、TNF阻害薬や抗IL-6受容体抗体などの生物学的製剤、JAK阻害薬などによる治療が浸透してきたのである。寛解を目指せる治療薬の登場は、ダメージが蓄積される前に診断して治療しようとする早期診断および強化治療の診察体系をもたらした。しかし、未だ寛解に至らない人も多く、今後さらなる進歩を目指すには、基礎医学と種々の自己免疫疾患臨床における進歩に広く精通することが望まれる。
自己免疫疾患はしばしば全身性自己免疫疾患と臓器特異的自己免疫疾患に分類され、前者はリウマチ膠原病科で、後者は各科で診療されることが多いが、いずれも疾患感受性遺伝子や関与するサイトカイン、細胞群などにおいて共通点もあり、臨床的にも両者の合併をしばしば認め、グルココルチコイドや免疫抑制薬が効果を示す。広い自己免疫疾患領域もこのように基礎および臨床面での共通点があり、特定の疾患における進歩はその後、他の疾患の研究や臨床に応用できる可能性も高い。基礎研究では近年の統合オミクス解析や免疫チェックポイント阻害療法に伴う免疫関連有害事象の病態など興味深いテーマがあるが、本稿では種々の自己免疫疾患の臨床で認められた最近の進歩に焦点を絞り、新たな治療標的および治療概念、新技術について触れたい。
「KEY WORDS」自己免疫疾患,生物学的製剤,JAK阻害薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る