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特集 貧血と諸疾患の機序を探る

腎性貧血

吉田拓弥古久保拓

Pharma Medica Vol.39 No.11, 49-52, 2021

腎性貧血は,「腎臓においてヘモグロビン(hemoglobin:Hb)の低下に見合った十分量のエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)が産生されないことによって引き起こされる貧血」のことをいう1)。腎臓の近位尿細管周囲間質にはEPO産生(renal erythropoietin producing:REP)細胞が存在するとされており,その細胞周辺の酸素分圧低下に応じてEPOが産生される2)。酸素分圧は動脈からの酸素供給と組織での酸素消費のバランスで決定され,特に酸素供給は腎血流量や血清Hb濃度によって規定される。よって,本来は血清Hb濃度が低下すれば酸素供給が低下し,局所での酸素分圧が低下するはずだが,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者の腎臓では尿細管障害によって酸素消費も低下しており,血清Hb濃度が低くてもEPO産生のフィードバックが十分にかからず,貧血が持続する。このEPOの相対的不足が,腎性貧血の本質と考えられている。他にも,体内に蓄積した尿毒症物質による骨髄機能の抑制,慢性的な炎症状態による消耗性の貧血や赤血球寿命の短縮なども腎性貧血の要因とされている。
「KEY WORDS」心腎貧血症候群,ESA低反応性貧血,HIF-PH阻害薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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