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特集 小児感染症の今

小児マイコプラズマの今

大石智洋

Pharma Medica Vol.39 No.8, 14-17, 2021

肺炎マイコプラズマは,主に呼吸器感染症を起こし,肺炎の発生率はかなり高く,市中肺炎の20~30%を占めるといわれ,特に学童や若年成人に多い。1981年から,国立感染症研究所にて,感染症発生動向調査として,その流行状況が調査されてきた1)(1999年までは異型肺炎として調査されていたが,異型肺炎の大半を肺炎マイコプラズマによる肺炎が占めるため,実質的に本疾患の疫学と同等とされている)。
この調査によると,1984年および1988年に大流行を認めており,それ以前にも4年ごとの流行を認めたとの報告が散見され,オリンピック肺炎とも呼ばれてきた。
1991年にマクロライド系薬のクラリスロマイシンを市場に導入後,しばらく流行はみられなかった。2000年に同じくマクロライド系薬のアジスロマイシンも導入された。2000年頃にマクロライド耐性肺炎マイコプラズマ(macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae:MRMP)が出現し,その後患者数に増加傾向がみられた。このMRMPの出現こそ,その後の肺炎マイコプラズマの流行状況やその診療に大きな影響を与えることになった。
そこで本稿では,このMRMPの出現に伴う流行状況の変化や,肺炎マイコプラズマ感染症の診断や治療について,最後に今後の展望につき概説する。
「KEY WORDS」肺炎,マイコプラズマ,マクロライド,耐性

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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