特集 糖尿病診療最前線2021
糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病の新展開
Pharma Medica Vol.39 No.5, 45-48, 2021
インスリンの発見から100年を経て,わが国においても糖尿病に関する周産期管理の発展は著しい。一方で,糖尿病合併妊娠においては,児の先天異常合併率や周産期死亡率は,全国の妊婦から得られるデータに比較していまだ高率であり,将来の肥満や耐糖能異常発症リスクとなるLGA(large for gestational age)児出生率はいまだ満足のいく値からほど遠い。IADPSG (International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups) Consensus Panelは,世界9ヵ国,25,505例の妊婦を対象に行った大規模前向き観察研究であるHyperglycemia and adverse pregnancy outcome(HAPO) studyによる周産期の有害事象をもとにした妊娠糖尿病新診断基準を2010年に発表し1),わが国でも2011年にIADPSG基準に準じた新しい妊娠糖尿病診断基準を取り入れた(2015年8月に一部改訂)2)。その後,世界では本診断基準の長期的母児転帰に対する妥当性も評価されてきている。また,1型糖尿病においては,持続グルコースモニタリング(continuous glucose monitoring:CGM)の妊娠中利用における代替指標の改善のみならず臨床的な効果が明らかにされ,かつ妊娠中早期からの血糖コントロールの重要性が注目されている。
「KEY WORDS」妊娠糖尿病,1型糖尿病合併妊娠,妊娠糖尿病母体の児,妊娠糖尿病スクリーニング
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。