特集 糖尿病診療最前線2021
糖尿病の食事療法Update
Pharma Medica Vol.39 No.5, 27-31, 2021
糖尿病治療における食事療法は,運動療法および薬物療法と並んで最も重要な治療法の1つである。わが国では,食生活の西欧化とともに,総エネルギー摂取量に占める炭水化物の摂取量比率が減少する一方で脂質摂取比率は増加しており,糖尿病患者においても肥満症例が増加している。また,高齢化社会を迎え,糖尿病患者においても過栄養の問題に加え,低栄養に関連するサルコペニア・フレイルの問題に直面している。高齢者においては腎機能障害を伴っていることも多く,適正なタンパク質の摂取量の提案が求められている。
糖尿病患者の食事療法においては,患者個人の生活習慣を考慮した上で,適正なエネルギー量とバランスを考え,実践することが望ましい。糖尿病診療ガイドライン20191)において,現在のわが国の糖尿病患者に適したエネルギー量とバランスについての提言が示され,2020年に刊行された「糖尿病患者の栄養食事指導」に関するコンセンサスステートメント(以下,コンセンサスステートメント)2)においては,その内容がアップデートされた形で紹介されている。
本稿では,糖尿病の食事療法について糖尿病診療ガイドライン2019およびコンセンサスステートメントの内容に基づき考えてみたい。
「KEY WORDS」目標体重,総エネルギー摂取量,炭水化物の摂取量,タンパク質の摂取量
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。