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特集 ロボット手術の新たな展開

人工知能を用いた手術ナビゲーションの開発

中沼寛明藤永淳郎多田和裕遠藤裕一岩下幸雄衛藤剛猪股雅史徳安達士

Pharma Medica Vol.39 No.4, 31-34, 2021

外科医として術場に立つとき,誰しもが初執刀を経験し,第一助手である先輩の指導を受けながら成長を重ねる。受け継いだ経験・技術をまた後輩へ伝え,肉体的・精神的限界を迎えたところでメスを置く。外科医療の進歩は,かつての外科医の汗と涙の結晶ともいえる。もし,すべての外科医がそれぞれ半世紀かけて得た経験をすべて蓄積し,発揮することができたらどうだろうか。1950年代に研究が開始された人工知能(artificial intelligence:AI)1)は,計算機の進歩により新たな時代を迎え,ディープラーニング(深層学習)による画像認識技術が医療現場で利活用されるようになってきた2)。外科医の経験を蓄積したAIが,術者の判断の支援を行うことで,いつでもどこでも安全な外科医療を提供できる時代が到来しようとしている。われわれの研究チーム(大分大学,福岡工業大学,オリンパス株式会社)は世界に先駆けて,AIによる解剖学的ランドマークの術中教示システムを構築し,臨床の現場で検証実験を行った。本稿では,わが国において最も普及している腹腔鏡手術術式である腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy:LC)におけるAIによるランドマークの術中教示システムを概説する。
「KEY WORDS」解剖学的ランドマーク,暗黙知,ディープラーニング,AI支援下手術,Smart Endscopic Surgery

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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