特集 ロボット手術の新たな展開
ロボット手術導入による次世代外科医の教育訓練
掲載誌
Pharma Medica
Vol.39 No.4 19-23,
2021
著者名
柴崎 晋
/
須田 康一
/
宇山 一朗
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
その他
/
消化器
診療科目
その他
/
一般外科
/
消化器外科
媒体
Pharma Medica
Key Words
ロボット手術,手術教育,カダバートレーニング
従来の内視鏡外科手術の欠点を克服すべく,内視鏡手術支援ロボットda Vinci® Surgical System(DVSS,Intuitive Surgical社)が開発され,このDVSSを使用したロボット手術が近年急速に発展してきている。わが国でも,先進医療Bにおいて従来の腹腔鏡下胃切除(laparoscopic gastrectomy:LG)よりもロボット支援下胃切除(robotic gastrectomy:RG)では合併症が有意に低くなることが示され¹⁾,2018年4月にはRGを含めた12術式のロボット手術が一気に保険収載された。さらに,2020年4月にはさらに7術式が新たに追加され,ロボット手術の施行件数は急速に増加の一途をたどっている。当院では2009年よりいち早くDVSSを導入し,自費診療下に胃がん,食道がんに対するロボット手術を施行してきた。RGにおいてはLGと比較して術後合併症が有意に減少することを報告し²⁾ ³⁾,長期予後はLGとほぼ同等であることを報告してきた⁴⁾。食道がん手術においても,従来の胸腔鏡手術よりも術後合併症が有意に減少することを報告してきた⁵⁾。保険適用となった2018年4月以降は胃がん,食道がんに対する根治術の第一選択をロボット手術とし,現在ではそれぞれ複数の術者が安全に施行できるようになってきている。しかし,ロボット手術は,日本内視鏡外科学会(JSES)が提言した術者基準,施設基準に関する指針⁶⁾や,DVSSの高いコストなどのさまざまな制約があり,一部の限られた施設のみで行われているのが現状である。本稿では,当科のロボット手術教育システムの概要と実績について紹介する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。