特集 神経難病の今~疫学・成因・治療の研究最前線~
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
Pharma Medica Vol.39 No.3, 49-53, 2021
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy:CIDP)は脱髄を特徴とする免疫介在性ニューロパチーであり,全年齢層で発症しうる後天性疾患である。慢性の経過を呈し,治療を行わなければ病勢は長期間持続しうる。また,四肢の脱力,感覚鈍麻が主症状で,稀ではあるが一部に脳神経症状や感覚性運動失調,振戦を伴う例がある。病因は今のところ不明で,髄鞘もしくは傍絞輪部を標的とする免疫応答が想定されるが,液性,細胞性両者の免疫機序の関与が指摘されるなど,病態の多様性が示唆される。
急性期治療にはステロイド,免疫グロブリン大量療法,血漿浄化療法がファーストライン治療として確立している。ただし,発症後の治療介入が遅れることで,脱髄から不可逆性の軸索変性に至るおそれがある。これを回避する目的で,再発予防を期待する維持療法(進行抑制療法)が受け入れられている。
「KEY WORDS」慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP),IgG4,NF155,CNTN1,治療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。