特集 関節リウマチの基礎・臨床 2021 Update
発症に関与する遺伝子多型と免疫細胞
掲載誌
Pharma Medica
Vol.39 No.2 9-11,
2021
著者名
庄田 宏文
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
骨・関節
/
膠原病・リウマチ性疾患疫
診療科目
整形外科
/
リウマチ科
/
膠原病科
媒体
Pharma Medica
Key Words
関節リウマチ,HLA-DRB1,eQTL,オミクス解析
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は多因子疾患と考えられており,その発症には遺伝的要因と環境的要因の両方が関与する。RAの発症仮説としては,遺伝的要因,環境的要因の影響により,エピゲノム修飾および蛋白質のシトルリン化に代表される翻訳後修飾が起こり,免疫系の異常が生じることで,抗シトルリン化ペプチド抗体(anti-citrullinated peptide antibody:ACPA)などの自己抗体が産生される。その結果,関節炎の発症,骨・関節破壊へと進展するとの説が支持されている¹⁾。
大規模なゲノムワイド関連解析(Genome Wide Association Study:GWAS)により,RAのリスク多型については,すでに研究が進んでいる。一方で,GWASからわかることの限界として,①“真の”原因となる多型が不明である,②多型がどの遺伝子に影響しているか不明である,③多型がどのように影響しているか(発現亢進または抑制など)不明である,④多型がどの細胞,組織で影響しているかが不明である,などが列挙される。これらの疑問に答えるべく,“Post GWAS時代”の研究が推進されている。本稿では,前半で遺伝子多型によるRA病態への関連についての最近の研究をまとめ,後半ではオミクス研究で新たに見出されたRA病態に関係する免疫細胞について概説する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。