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一目でわかるクリニカルレシピ

クローン病の食事療法

大林里奈岡本和之遠藤陽子市川和子松本啓志

Pharma Medica Vol.38 No.11, 94-97, 2020

大腸および小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)といいます。クローン病もこの炎症性腸疾患の1つです。クローン病は主に若年者にみられ、口腔から肛門に至るまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こりえますが、小腸と大腸を中心として特に小腸末端部が好発部位です。非連続性の病変を特徴とします。症状としてそれらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが起こります。
クローン病の原因として、何らかの遺伝的な素因を背景に、食事や腸内細菌に対して腸に潜んでいるリンパ球などの免疫を担当する細胞が過剰に反応し、病気の発症、増悪に至ると考えられています。10~20歳代の若年者に好発し、発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多く、男性と女性の比は約2:1と、男性に多くみられます。クローン病治療の目的は、疾患による身体症状(下痢、腹痛などの腹部症状や発熱、低栄養などの全身症状)を改善させて患者の生活の質(QOL)を高め、自立や社会復帰を図り、寛解状態を維持することにあります。
クローン病の治療は症状や受容性により栄養療法、薬物療法、あるいは両者を組み合わせて行います。活動度が高い状態では頻回の下痢や高度の腹痛を伴うため、基本的な考え方は「腸を休める」ことです。絶食で経静脈的に栄養補給を行いますが、炎症により必要エネルギーは増加しているため、中心静脈カテーテル留置による高カロリー輸液(完全静脈栄養)が望ましいです。活動度が低い場合には経口摂取が可能ですが、日々の脂肪摂取量が20gを超えてくると再燃率が急激に増加するといわれており(図)、低脂肪の食事が基本となります。
今回は活動期(軽症~中等症)もしくは寛解期で経口摂取が可能な場合のクローン病の栄養療法について紹介します。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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