特集 高齢者動脈硬化予防の新展開
動脈硬化性疾患予防のための栄養療法
Pharma Medica Vol.38 No.10, 43-47, 2020
高齢者においては,動脈硬化性疾患の既往をもつ者,あるいは既往がなくても冠動脈硬化や脳梗塞,腎動脈硬化があるが無症状でいる者の頻度が多い。そして,高血圧,脂質異常症,糖尿病の薬物療法やリハビリテーションなどの運動療法を取り入れている者,さらに胃切除などの消化器疾患,慢性腎臓病や肝機能異常といった合併症もある。こうした病態に加えて,食事内容の嗜好(偏食)や歯科的問題,フレイル,サルコペニア,老年症候群,低栄養といった問題がある。したがって,栄養における生化学的な基本は同じであるものの,個々において対応せざるを得ないことは自明である。こうした状況を踏まえ,本稿では動脈硬化性疾患予防に対する基本的な脂質対策を中心に解説する。また,高血圧に対する生活習慣の修正項目には,食塩とともに脂質に関する事項があるため,これらの解説も加える。
「KEY WORDS」高齢者,脂質異常症,コレステロール,食塩
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