特集 高齢者動脈硬化予防の新展開
日本人高齢者の動脈硬化性疾患の疫学
Pharma Medica Vol.38 No.10, 9-12, 2020
動脈硬化性疾患とは,急性心筋梗塞,急性冠症候群,脳梗塞などの主に粥状動脈硬化を起因とする疾患を含んでいる。疫学研究はこれまで,動脈硬化性疾患のなかでも頻度の高い虚血性心疾患と脳血管疾患に関して長年にわたりエビデンスを積み重ねてきた。
脳血管疾患は,くも膜下出血,脳内出血,脳梗塞を含んでいる。さらに,脳梗塞に関しては,臨床経過やCT所見を用いた疫学分類により,穿通枝系と皮質枝系に分類される。後者は,塞栓源となる疾患の有無などにより塞栓型,血栓型,分類不能に分類される。臨床病型では,穿通枝系脳梗塞をラクナ梗塞,皮質枝系脳梗塞の塞栓型を心原性脳塞栓症,血栓型をアテローム血栓性脳梗塞として同義で用いている。
動脈硬化性疾患の頻度は年齢やリスクファクターの関与によって大きく異なる。超高齢社会が急速に進んでいるわが国において,本稿では高齢者の動脈硬化性疾患の特徴について,疫学的な視点から述べてみたい。
「KEY WORDS」高齢者,疫学,動脈硬化性疾患
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