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特集 糖尿病性腎臓病(DKD)Basic & Clinical up-to-date 2020 ~進化するDKD治療~

Ⅱ 糖尿病性腎臓病 Clinical 2020 ~Current and Future Therapeutic Strategies~

バルドキソロンメチルへの期待

和田淳

Pharma Medica Vol.38 No.9, 57-61, 2020

バルドキソロンメチルは新規の合成トリテルペノイドであり,もともと抗がん剤として開発された。トリテルペンは6つのイソプレンから構成され,天然のトリテルペンやトリテルペン配糖体には抗炎症作用,抗腫瘍効果,糖脂質代謝改善作用など多彩な生理機能が報告されている。バルドキソロンメチルは抗酸化作用,抗炎症作用があり,種々の進行固形がんやリンパ腫に対して第Ⅰ相臨床試験が行われた。エントリー基準は血清クレアチニン2.0mg/dL未満,クレアチニンクリアランス60mL/min以上とされていたが,全患者で平均26%の推算糸球体濾過量(eGFR)上昇が認められた1)。糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)では酸化ストレスや炎症がその進展に寄与していることが明らかとなっており,これを端緒としてバルドキソロンメチルのDKD治療薬としての開発が始まった。本稿では,バルドキソロンメチルのターゲットである転写因子nuclear factor erythroid 2-related factor 2(Nrf2)の機能,バルドキソロンメチルのDKDをターゲットとした治験の動向,さらにバルドキソロンメチルの腎機能保持における期待について述べたい。
「KEY WORDS」糸球体濾過量,アルブミン尿,酸化ストレス,炎症

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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