現在,糖尿病に伴う腎疾患は多様性を増しており,古典的な糖尿病性腎症から,蛋白尿陰性の腎臓病も含む糖尿病性腎臓病(diabetic kidney diseases:DKD)という呼称が普及している。本稿ではDKDと糖尿病性腎症の関係性は割愛し,DKDとして記載することをご理解いただきたい。DKDの進展には慢性炎症が関わっていることが知られている。糸球体病変の形成にはToll-like receptor(TLR)4シグナル依存的な炎症が関与している1)。この活性化の主な細胞はマクロファージであることが示されてきた。一方で,後述するが,近年糸球体上皮細胞における炎症の重要性も報告されている。また,間質病変に関してもDKD進展の共通経路として慢性炎症の重要性が報告されている。Susztakらにより,ゲノムワイドトランスクリプトーム解析によって炎症関連経路が間質において活性化していることが報告された2)。近年,これら慢性炎症の本態としてinflammasomeの意義が注目されている。
「KEY WORDS」inflammasome,活性酸素,podocyte,慢性炎症