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特集 CKDの病態理解と新規治療法開発の現況

腎線維化の分子機序

萩原広一郎佐藤有紀柳田素子

Pharma Medica Vol.38 No.5, 23-25, 2020

線維化は全身臓器において組織障害に随伴して認められる共通した病理所見であり,腎臓においても基礎疾患の種類を問わず障害後には線維化が認められ,その重症度が腎予後と相関することが示されている。腎線維化は主に障害に応答した線維芽細胞がα-smooth muscle actin(SMA)陽性myofibroblastへと形質転換し,大量の細胞外マトリックスを産生しながら盛んに増殖することで進展する。この形質転換に際して,腎線維芽細胞は造血ホルモンであるエリスロポエチンの産生能を失い,また毛細血管の正常な組織構築を保つことができなくなることで,腎性貧血および毛細血管密度減少という2つの慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の代表的な合併症をも引き起こし,複合的に腎臓病を進展させることも明らかにされている。
「KEY WORDS」線維化,線維芽細胞,腎性貧血,三次リンパ組織

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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