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特集 CKDの病態理解と新規治療法開発の現況

腎臓病の病態変化

~糖尿病性腎症と糖尿病性腎臓病~

岡田浩一

Pharma Medica Vol.38 No.5, 9-12, 2020

古典的な糖尿病性腎症の病期分類は,1型糖尿病による腎症の経過をもとに策定されており,尿中アルブミンが正常範囲である腎症前期(第1期)から微量アルブミン尿が陽性となる早期腎症期(第2期)を経てアルブミン尿が顕性化する顕性腎症期(第3期),蛋白尿がネフローゼレベルへと増加しつつ血清クレアチニン値が上昇する腎不全期(第4期)と経過し,腎代替療法を導入されると透析期(第5期)に到達する。従来より2型糖尿病では必ずしもこのような典型的な経過をたどらない症例が知られており,アルブミン尿が顕性化しないまま血清クレアチニン値が上昇したり,糖尿病網膜症が軽微なまま腎症が進展するような非典型的な症例を経験することがある。しかし2000年頃から,アルブミン尿が顕性化しないまま血清クレアチニン値が上昇する2型糖尿病患者が増えてきた。これまで典型的な臨床的特徴を示す場合に限り,組織学的な根拠がなくとも糖尿病性腎症という診断が許容されてきたが,非典型的な経過を示す糖尿病患者の腎障害を糖尿病性腎症と呼ぶことに違和感を感じる一般医家が増えていった。
「KEY WORDS」アルブミン尿,レニン・アンジオテンシン系阻害薬,加齢,集学的治療,低酸素

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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