特集 間質性肺炎診療の今・未来
Ⅱ 合併症の対応 間質性肺炎合併肺がん
Pharma Medica Vol.38 No.3, 43-46, 2020
間質性肺炎(interstitial pneumonia:IP)は肺がん発生の危険因子である。特に特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)における肺がんの発生率は,研究により幅があるもの,おおむね20~30%と報告されている1)。IPFはその他のIPより急性増悪をきたしやすく,経過中に年間10~15%程度の頻度で急性増悪を発症する2)。IP合併肺がんの治療に際しては,外科治療,薬物療法,放射線治療のいずれもが,IP急性増悪の契機となることに注意する。IP合併肺がんの予後は不良であり,急性増悪のリスクの少ない効果的な治療を検討する必要がある。
このような背景のもと,わが国で作成された『特発性肺線維症の治療ガイドライン2017』では,IPFを含むIP合併肺がんの治療に関するクリニカルクエスチョンが設けられた3)。また,日本呼吸器学会より,『間質性肺炎合併肺癌に関するステートメント』が発行され,これまでにわかっていることと,これまで不明であり今後明らかにすべきことが報告された1)。本稿ではIP合併肺がんの治療について述べる。
「KEY WORDS」急性増悪,手術,薬物療法,放射線治療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。