特集 高齢者と眼疾患
ドライアイ
Pharma Medica Vol.37 No.12, 21-24, 2019
ドライアイは加齢性変化により病態の悪化を招く眼疾患であり,その有病率も年齢とともに増加する。ドライアイの自覚症状は,目が乾くだけではなく,目の疲れ,視力の質の低下など多岐にわたるため,QOLへの影響が大きい疾患である。高齢者におけるドライアイには3つのサブタイプがあり,角膜上皮の親水性が低下する「水濡れ性低下型」,涙腺からの涙液分泌が減少することで起こる「涙液減少型」,さらに涙液の蒸発が増えることで生じる「蒸発亢進型」がある。もともと,ドライアイの治療薬は涙液を外部から補充するだけの点眼治療であったが,わが国では世界に先駆けて2010年にP2Y2受容体アゴニストであり,ムチンおよび水分を増加させる3%ジクアホソルナトリウム点眼液が,さらに2012年には眼表面の水濡れ性を向上させ,抗炎症作用もある2%レバミピド点眼液が上市され,3つのサブタイプに対して,正しく診断し,それぞれに合った点眼治療ができるようになった。しかし,高齢者の場合は,結膜弛緩症やマイボーム腺機能不全が合併していることが多く,同じドライアイ症状を訴えていても純粋にドライアイだけでない場合も多く,ドライアイ治療+αの治療が必要となることが多い。
「KEY WORDS」加齢,ドライアイ,涙液減少,結膜弛緩症,マイボーム腺機能不全
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。