特集 白血病診療の新展開
人工知能を用いた白血病診療
Pharma Medica Vol.37 No.10, 55-58, 2019
人工知能(artificial intelligence:AI)やその構成要素である「機械学習(machine learning)」,「深層学習(deep learning)」という用語は,今日あらゆるメディアで見聞きしている。家庭向けAI搭載スピーカーやスマートフォンの音声応答機能などの例を挙げるまでもなく,AIは確実に私たちの日常生活の一部になりつつある。AIには人間の脳と同じ機能をもつ万能型の「強いAI」と脳がもつ機能のうち特定のことができる特化型の「弱いAI」の2種類がある。社会実装されつつあるのは,認識・探索・予測などの機能に限られた後者である。そして,医療の世界でもすでに「弱いAI」は着実に応用範囲を広げている。ビッグデータと深層学習の組み合わせで著しく進歩しているAIによる画像認識がその代表であり,放射線科・皮膚科・眼科などの診療科や病理・内視鏡・超音波などの検査部門においてAIと専門医の技能を比較した論文が最近次々に発表されている1)。米国では2017年以来,米国食品医薬品局(food and drug administration:FDA)による画像診断を中心とする医療用AI(ソフトウェアおよびデバイス)の承認も加速しており1),さらにAIの活用は電子カルテ情報やゲノム情報の解析を通してがんのゲノム医療にも及んでいる。
「KEY WORDS」人工知能(AI),Watson,臨床シークエンス,ドライバー変異
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。