<< 一覧に戻る

特集 NAFLD/NASH診療の現況と展望

NAFLD/NASHの画像による評価

小林奈津子西村貴士飯島尋子

Pharma Medica Vol.37 No.9, 23-27, 2019

非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)の患者数は近年増加の一途をたどっており,その数はわが国で1,000万人以上とされている。NAFLDの約10~20%が非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)であり,NASHは肝硬変や肝がんの発症母地となるため積極的な診断・治療の介入が必要である。NASHの診断は肝生検による組織診断が必須であるが,侵襲性の高い肝生検をNAFLD患者全例に施行することは非現実的であり,肝生検に替わる非侵襲的な画像診断の確立が望まれている。近年,Anguloらは,肝生検を施行したNAFLD患者のさまざまな病理学的所見と予後を比較した結果,肝線維化の程度のみが予後と関連したと報告した1)。つまりNAFLDの予後予測には肝線維化の程度が重要であると考えられ,今後はNAFLDの画像診断においても,肝脂肪化と肝線維化の両方の評価が必要である。超音波検査は簡便で非侵襲的であり以前より脂肪肝の診断に広く用いられてきた。最近では超音波の減衰法を利用して脂肪化の定量評価が行えるようになった。また非侵襲的な肝線維化の診断法として超音波やMRIを用いたエラストグラフィが開発され,NASH診断における有用性が注目されている。
「KEY WORDS」NAFLD/NASH,腹部超音波,MRI,肝線維化

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る