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特集 NAFLD/NASH診療の現況と展望

特集にあたって

小池和彦

Pharma Medica Vol.37 No.9, 7, 2019

1964年にB型肝炎ウイルス(HBV),1989年にC型肝炎ウイルス(HCV)が発見されてから,肝臓病の主体はウイルス肝炎による慢性肝炎,肝硬変,肝がんであった。しかし,抗ウイルス薬開発は急速に進み,C型肝炎はインターフェロンフリーDAA(direct-acting antiviral)の時代に入った。95%以上でHCV駆除が達成できる時代である。しかし,C型肝炎を克服したと気を緩めてはいられない。すでに新たな敵が現れている。HCVもHBVもいない「非B非C型肝細胞がん(肝がん)」が増えており,わが国の初発肝がんにおいて非B非C型肝がんが占める割合は50%に近づいている。
非B非C型肝がんは単一な疾患ではなく,いくつかの疾患の集合と考えられるが,そのメインとなる原因肝疾患は脂肪肝[非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)]である。NAFLDの中には,進行性脂肪性肝疾患である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が2割程存在すると推定されている。NASHは肝硬変へと進展し,肝がんも発生し,肝臓死の原因となる。すなわち,肝臓病は,肝炎ウイルスによる「外因性肝疾患」の時代から,肝炎ウイルス不在の「内因性肝疾患」の時代へと移ってきたのである。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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