自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder:ASD) の中核症状で,表情や視線や声色あるいは言語を介して他者と双方向に交流することの障害である社会的コミュニケーションの障害に対する有効な治療方法は確立されておらず,本人や家族さらには社会全体への過度な負担が問題となっている。そうしたなか,ハタネズミなどの実験動物において愛着や友好関係の形成に重要な役割を示すことが知られてきたオキシトシンの投与で,ヒトでも表情や顔の認知の改善と仲間集団内での信頼関係は促進されることが確かめられた。さらに,ASD当事者においても,オキシトシンの投与で目もとから感情を推し量る能力の改善や協調的な行動が促進されるという報告などが続いた。こうした知見から,ASD中核症状に対する初の治療薬としてのオキシトシン経鼻薬の可能性に関心が集まってきている1)-4)。
「KEY WORDS」アスペルガー,自閉症,神経ペプチド,脳画像解析,発達障害
「KEY WORDS」アスペルガー,自閉症,神経ペプチド,脳画像解析,発達障害