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特集 過活動膀胱に注目!

Ⅲ 過活動膀胱の類型別診療 ①高齢患者

鈴木基文久米春喜

Pharma Medica Vol.37 No.6, 49-53, 2019

世界保健機関(WHO)が2018年に報告した統計によれば,日本人の平均年齢は84.2歳であり,日本は世界一の長寿国である[男性81.1歳(第2位),女性87.1歳(第1位)]1)。内閣府発表の『平成30年版高齢社会白書』によると,高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口割合)も27.7%と年々増加しており,こちらも世界一である2)。高齢化率が21%を超えた状態を超高齢社会と呼ぶが,日本は2007年からすでに超高齢社会に突入している。
わが国で男性2,100人,女性2,380人を対象とした疫学調査では,過活動膀胱(overactive bladder:OAB)の有病率は60代以上で急峻に増加し,80代で37%に達する。男女別では40代を除けば常に男性の有病率のほうが高い(図)3)。欧州,カナダで行われた疫学調査でも,OABの有病率は加齢とともに上昇し,60代以上の男性で19.1%,女性で18.3%と報告されている4)。最近では,OABは老年症候群としてのフレイルの初期マーカーとしてみなされるようになってきた5)。尿失禁のある男性は尿禁制の保たれている男性と比べて合併症が多く,さらに身体機能の低下,うつ症状,認知機能の低下,低栄養,多剤服用,便失禁に至る傾向が高い6)
「KEY WORDS」超高齢社会,フレイル,認知機能,尿閉

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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