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Medical Scope

HIF活性化薬の貧血・腎臓病・代謝異常への効果

~ポストEPO製剤の開発~

山崎智貴田中哲洋南学正臣

Pharma Medica Vol.37 No.4, 81-84, 2019

低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor;HIF)は,細胞の低酸素応答を担う主要な転写因子である。HIFの活性化は内因性のエリスロポエチン(erythropoietin;EPO)産生や,体内での鉄利用を最適化することでヘモグロビン(Hb)値を上昇させる。そのためHIF活性化薬は腎性貧血の新規治療薬として,現在臨床第Ⅱ相・第Ⅲ相試験まで進んでおり,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agent;ESA)使用による副作用や高コストを回避し,ESA低反応性貧血を改善させることが期待されている。さらにHIF活性化薬は,さまざまな動物実験で,急性腎障害(acute kidney injury;AKI)を軽減させることや,肥満や糖・脂質異常症にも有益である可能性が報告されている。今後,網膜症や悪性腫瘍の進展を中心とした副作用に対する安全性や,長期使用の有効性についての検討が必要である。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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