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特集 パーキンソン病診療最前線

パーキンソン病の成因研究

長谷川隆文

Pharma Medica Vol.37 No.4, 9-13, 2019

パーキンソン病(Parkinson's disease;PD)は65歳以上人口の1%が罹患する頻度の高い神経変性疾患である。PDを特徴付ける運動症状は,黒質緻密層におけるドパミン神経細胞の脱落に起因する。1997年にαシヌクレイン(αS)遺伝子が家族性PDの原因遺伝子として最初に同定されて以降,分子生物学・分子遺伝学の進歩と相まって,PD病態に関する多くの知見が蓄積され,複数の病態カスケードの関与が明らかとなってきた。なかでもPDの病理学的指標であるレビー小体の主要構成成分αSの病的代謝を中心とした変性機序が最重要視されている。本稿ではPDの発症機構に関して最初にドパミン神経変性と運動症状発現の神経生理学的基盤に触れ,次いでドパミン神経細胞死の背景にある分子生物学的機構をαS凝集・細胞毒性に焦点を当てて解説する。最後にαS細胞間伝播現象の背景にある細胞生物学的機構について最近の知見を概説する。
「KEY WORDS」パーキンソン病,ドパミン,αシヌクレイン,プリオン様伝播

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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