特集 婦人科腫瘍の新たな治療戦略
子宮肉腫に関する最近の話題
Pharma Medica Vol.37 No.2, 63-67, 2019
子宮肉腫はまれで,予後不良な疾患である。子宮肉腫の診断は,2014年のWHO分類で表11)のように分類されたが,病理学的に良・悪性の判定が困難な症例は,悪性度不明な平滑筋肉腫(smooth muscle tumour of uncertain malignant potential)として診断されることからもわかるとおり,病理組織学的多様性から診断に苦慮することが多い。
子宮肉腫のなかで最も頻度が高い疾患が癌肉腫で,その他,平滑筋肉腫,内膜間質肉腫,腺肉腫などで占められるが,おのおののbiological behaviorは著しく相違しており,臨床では個別に対応する必要がある。癌肉腫は癌腫成分と肉腫成分から構成されていることが特徴だが,最近のクローナリティー解析の結果,そのほとんどが単一細胞由来であることがわかってきた。つまり腫瘍発生の過程で上皮部分と間葉部分に分化が分かれた腫瘍で,癌腫に近い性格をもつ。そのため,日常臨床では子宮体がんの進行期分類を適応し,子宮体がんハイリスク群に準じた治療が行われる傾向にある。本稿では癌肉腫に次いで頻度の高い腫瘍である平滑筋肉腫について述べる。
「KEY WORDS」子宮肉腫,子宮平滑筋肉腫,手術療法,放射線療法,化学療法
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