四肢関節に生じる加齢変化には,軟骨の摩耗による関節症と関節を構成する骨の脆弱化である骨粗鬆症がある。脊椎においても四肢関節の可動部分に相当する椎間板や椎間関節の関節症や椎体の骨粗鬆症により,脊椎症や脊椎圧迫骨折をきたす。これらに加えて脊椎では,内在する神経組織の障害や二足歩行に必要な脊柱配列の破綻による立位歩行障害など多彩な障害を呈する。高齢者は運動器のみならず,感覚器(視覚・聴覚)や呼吸循環・肝腎機能低下も合併しており治療法の選択にはそれらを勘案した判断が求められる。本稿では高齢者に特徴的な脊椎疾患について病態を中心に概説する。
「KEY WORDS」高齢者,脊椎疾患,外傷,変性,脊柱変形