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特集 ビヨンドコレステロール時代の動脈硬化リスク管理

メタボリックシンドロームに焦点を当てた心血管病リスク対策

津下一代

Pharma Medica Vol.36 No.10, 61-65, 2018

メタボリックシンドロームは,「高血糖,脂質異常,高血圧が一個人に集積するマルチプルリスクファクター症候群のうち,内臓脂肪蓄積がキープレイヤーになっている病態を分別,内臓脂肪を減らす指導により併存するリスクを一網打尽に改善させ,動脈硬化の発生を防ぐ」ことを目標とした概念である1)。つまり,ビヨンドコレステロールとして循環器疾患のハイリスクグループを定義しただけでなく,生活習慣介入の必要性に踏み込んだ概念を提供したものである。
2005年,内科系8学会合同委員会よりメタボリックシンドローム診断基準が発表2)されたことを受けて,わが国の予防医学は「特定健診・特定保健指導制度」の導入に向けて大きく転換した。2008年度の本制度開始以降実施率は徐々に向上,ナショナル・データ・ベース(NDB)などによる評価に耐え,本年度より第3期としてさらに対策が強化される。さらには,特定保健指導の対象外となる薬剤治療中の糖尿病・メタボリックシンドロームなどについても,生活習慣病重症化予防の一環として,医療機関と保険者が連携して進展させていくことが期待されている。本稿では対策の成果と今後の方向性について述べたい。
「KEY WORDS」メタボリックシンドローム,特定健診(健康診査),特定保健指導,体重減量,データヘルス計画

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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