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特集 日常診療における感染防止対策

耐性菌の最近の動向

石井良和

Pharma Medica Vol.36 No.9, 17-22, 2018

薬耐性菌とは,抗菌薬による感染症の治療ができない,すなわち抗菌薬が効かない菌株のことをいう。通常,抗菌薬の効果は,試験管内で行う薬剤感受性検査の結果をもとに予測される。薬剤感受性検査成績は,投与された抗菌薬の血中濃度や組織内濃度,臨床効果などを加味して,感性,中間,耐性の3つのクライテリアに分類される1)。このクライテリアは臨床的ブレイクポイントと呼ばれ,抗菌薬の効果を予測するための指標の1つとして汎用されている。しかし,感性のクライテリアであるにもかかわらず,当該抗菌薬を適切量投与しても臨床効果が認められないことがしばしばあるのも事実である。これが現在の抗菌薬感受性検査の限界である。抗菌薬の開発・使用によって耐性菌が出現・蔓延すると考えられている。しかし,ペニシリンを分解するいわゆるβラクタマーゼ産生大腸菌は,ペニシリンが上市される以前に確認されており,すべての耐性菌が抗菌薬の使用によって出現するのではないことが理解できる。しかし,抗菌薬の使用に伴って耐性株への選択圧が高まり,耐性株や耐性因子が拡散することも事実である。耐性因子をコードする遺伝子がプラスミドやバクテリオファージ,トランスポゾンなどの可動性の遺伝因子上に存在すると,形質転換,接合伝達,形質導入によって菌種を超えて急速に拡散することが危惧される2)
「KEY WORDS」メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),バンコマイシン耐性腸球菌,腸内細菌科カルバペネマーゼ産生菌,基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌(ESBL)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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