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特集 てんかん診療Update

認知症・神経変性疾患とてんかん

池田佳生

Pharma Medica Vol.36 No.8, 45-48, 2018

てんかんの年代別有病率に関しては,小児期および高齢者において頻度が高いことが知られている1)。急速な高齢化を背景として,2017年時点の高齢化率は27.7%となり,超高齢社会を迎えた現代日本では,高齢になってはじめて発症するてんかん患者に遭遇する機会も増えてきている。そのなかには脳血管障害や脳腫瘍などを原因とする症候性てんかん以外にも,原因を特定し得ない特発性てんかん患者も多い2)。また,症候性てんかんに関連する病態として近年,認知症や神経変性疾患が注目されている。いずれも高齢者に頻度の高い疾患であることから,これらの患者に生じたてんかん発作に遭遇する臨床場面が多くなっている。
認知症は正常レベルに発達した認知機能が何らかの要因により,日常生活や社会生活を営むうえで支障をきたすほどに障害されている状態である。その有病率は高齢になるほど高くなり,最大の原因疾患はアルツハイマー型認知症(Alzheimer's type dementia;AD)である。また認知症以外にも,パーキンソン病,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,脊髄小脳変性症,多系統萎縮症,筋萎縮性側索硬化症といった,中枢神経系の特定の領域の系統的変性により特徴的な臨床症候を呈する神経変性疾患も,高齢者において有病率の高い疾患群であり,これらの一部においてはてんかん発作を呈することがある。
本稿では,ADをはじめとする認知症疾患,またそれ以外の神経変性疾患とてんかんの関係について解説を行う。
「KEY WORDS」認知症,アルツハイマー型認知症,パーキンソン病,神経変性疾患,てんかん

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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