特集 高齢者医療におけるポリファーマシー対策
病院内における処方適正化チームの役割(高齢者薬物療法適正化チーム)
Pharma Medica Vol.36 No.7, 31-34, 2018
昨今,ポリファーマシー問題は注目を集め,高齢者医療にとって重要な課題であるといえる。ポリファーマシーが関わる問題点としては,薬物有害事象の発現頻度が6剤以上で上昇するという報告1),処方の複雑化2),服薬アドヒアランスの低下3),薬物関連問題4)などさまざまな問題と関連するといわれており,厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会でもポリファーマシーは明確な数の定義はないものの,薬に関するあらゆる不適切な問題をポリファーマシーとしている。また海外でもポリファーマシーのすべてが悪ではなく,必要悪と表現する論文もある5)。処方医も悪意をもって処方するわけではなく,疾患や病状に対して治療が行われた結果,ポリファーマシーに陥ることが考えられる。そのため,減薬を一律に行うことは難しく,処方内容だけでなく服薬支援や生活環境の調整などを考慮して処方をレビューする必要がある。減薬後の経過観察を考えると入院時を機会に処方見直しを行うことがよいと考えられ,国立長寿医療研究センターでは,多職種協働で処方を見直す「高齢者薬物療法適正化チーム」を結成し活動している。本稿では,病院内での処方適正化チームのあり方と機能について概説したいと考える。
「KEY WORDS」ポリファーマシー,薬物有害事象,多職種協働, 高齢者薬物療法適正化チーム
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