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特集 高齢者医療におけるポリファーマシー対策

ポリファーマシー関連の医療費と診療報酬改定による取り組み

浜田将太

Pharma Medica Vol.36 No.7, 13-16, 2018

ポリファーマシーとは,薬物有害事象のリスクの上昇,服薬過誤,服薬アドヒアランスの低下といった薬物療法上の諸問題につながる状態のことをいう。これらの臨床上の問題だけではなく,ポリファーマシーは,薬剤費やその他の医療費の増加とも関係し,その費用は患者および保険財政の経済的な負担となる。
後期高齢者の多くは,医療費の自己負担は1割であるが,それでも患者の経済状況によっては,薬剤費が経済的な負担あるいは負担感となりうる。それによって,アドヒアランスの低下や治療中止につながる可能性があり,処方の見直しの際に患者の経済状況は考慮に入れるべきである。また,現在,国民医療費は42兆円であり,薬剤費は6兆円を占めている。その大部分は高齢者に投入されていることから,高齢者の薬物療法の適正化は,医療政策上の重要な課題の1つでもある。医療保険財政が厳しいなか,医療費を適正化していかなければ,真に必要とする医療へのしわ寄せが懸念される。
本稿では,ポリファーマシーに関連した薬剤費やその他の医療費への影響について,①重複投薬,②減薬の対象となる不必要な薬剤の処方,③残薬,④薬物有害事象の発現・重症化,の4つに分類して考える。また,ポリファーマシーの解消に向けた近年の診療報酬改定の動きを一部紹介する。
「KEY WORDS」ポリファーマシー,医療費,薬剤費,診療報酬改定

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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