特集 糖尿病治療薬の循環器系への作用~その光と影~
SU薬は諸刃の剣か
Pharma Medica Vol.36 No.6, 15-19, 2018
21世紀初頭は,まさに糖尿病診療激動の時代といえる。ここ最近20年間で多種多様な糖尿病治療薬が開発・臨床応用され,多くのエビデンスの蓄積とともに,われわれの薬剤選択も大きな変貌を遂げた。なかでもインクレチン関連薬の登場は,われわれの診療内容を一変させたといっても過言ではない。dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬は2009年に臨床応用されて10年と経たないうちに,わが国で最も使用されている糖尿病治療薬の1つとなり,かつて最も使用されたインスリン分泌促進薬であるスルホニル尿素(SU)薬を超える勢いにある。DPP-4阻害薬の登場以後,SU薬はひとくくりに“悪者”にされがちであるが果たしてそうであろうか。また,SU薬内での薬剤の違いはあるのであろうか。本稿ではこの点について,心血管疾患への影響を中心に議論する。
「KEY WORDS」低血糖,慢性高インスリン血症,虚血プレコンディショニング,抗酸化作用
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