特集 糖尿病治療薬の循環器系への作用~その光と影~
インスリン
Pharma Medica Vol.36 No.6, 9-14, 2018
インスリン製剤は作用時間特性から,超速効型インスリン製剤,速効型インスリン製剤,中間型(NPH)インスリン製剤,持効型溶解インスリン製剤,および速効型と中間型の混合型インスリン製剤,超速効型とNPHインスリンの混合型インスリン製剤に分類される1)。
基礎インスリン分泌の補充にはNPHインスリン製剤または持効型溶解インスリン製剤が用いられ,追加インスリン分泌の補充による食後の血糖上昇抑制のためには,速効型インスリン製剤または超速効型インスリン製剤が用いられる。
超速効型インスリンであるリスプロ,アスパルト,グルリジンは,ヒトインスリンのアミノ酸配列を変えたインスリンアナログ製剤である。皮下注射後10~20分で作用が発現し,30分~1.5時間でその効果はピークとなり,3~5時間は血糖降下作用が持続する。作用発現時間が30分~1時間,効果のピークが1~3時間,血糖降下作用が5~8時間の速効型ヒトインスリンの皮下注射時に比較して,吸収が早く,生理的なインスリン分泌動態に近い効果が期待できる。特に食後血糖がより改善するが,HbA1cはやや改善するかほぼ同等である。速効型インスリンは食前に皮下注射されるのに対し,超速効型インスリンは食直前に皮下注射される。夜間の低血糖の頻度は低くQOLの向上にも有効である1)-4)。持続皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion;CSII)は速効型ヒトインスリンと同等かより有効とされる。
「KEY WORDS」インスリン,低血糖,心臓血管病
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。