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特集 多発性硬化症診療最前線

MSバイオマーカーとしての血液・髄液検査

中辻裕司奥野龍禎

Pharma Medica Vol.36 No.3, 19-22, 2018

バイオマーカーとは「正常な生物学的プロセスや病原性プロセス,あるいは治療に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定・評価される項目」とされている1)。その機能としては疾患の診断,予後予測,疾患活動性の評価,治療反応性のモニター,治療反応性の予測,個人の疾患への罹りやすさなどがあげられる。多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)のバイオマーカーとして画像,体液(血液,髄液),遺伝子,神経生理学的検査が利用される。これらの機能のなかで日常臨床では主に診断目的に検査が行われることが多いのは,髄液の細胞数・蛋白濃度,オリゴクローナルIgGバンド(IgG-OCB),IgG index,ミエリン塩基性蛋白(MBP)などで,ほぼルーチン検査として施行されている。しかしこれらのバイオマーカーは診断の補助にはなるが,疾患感受性,疾患特異性はそれほど高くなく,さらに有用なバイオマーカーの開発が望まれている。しかし,このような必要性に十分に応えることができる,確立された体液バイオマーカーはいまだほとんどない。本稿では,これまでわれわれが研究してきたセマフォリン4A(Sema4A)を含めて,最近注目されているマーカーについて記載する。
「KEY WORDS」バイオマーカー/多発性硬化症/Sema4A

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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