特集 CKD診療のトピックス
Functional MRI(特にBOLD MRI)を用いたCKDの評価
Pharma Medica Vol.36 No.1, 23-27, 2018
持続する蛋白尿と糸球体濾過量の低下で定義される慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)は原疾患を問わない。実際に,慢性糸球体腎炎でも,糖尿病性腎臓病でも,病期が進行すると組織学的な特徴は次第に失われてしまい,糸球体硬化や尿細管萎縮,間質の線維化など共通の組織変化が生じる。これらの変化はCKDにおけるfinal common pathwayと考えられており,腎疾患横断的な治療ターゲットとして長きに渡って研究対象となってきた。そして多くの優れた基礎・臨床研究から,各種サイトカインの分泌や炎症細胞浸潤による慢性炎症巣の形成,腎構成細胞の活性化・形質変化,機能ネフロン数の減少と間質の線維化による腎血流の低下と低酸素状態の進行など,種々の病態が明らかにされている1)。そして現在,CKDの進行機序に立脚した真のCKD治療薬が研究途上にある。
CKD治療薬の開発におけるボトルネックは臨床的な有効性評価の難しさにある。CKDの基礎治療として,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を代表とする種々の抗蛋白尿療法が広く選択されている現状では,尿蛋白の増減はCKD治療効果のサロゲートマーカーにはならない。腎機能の低下による腎代替療法の導入をエンドポイントとすると,10年あるいはそれ以上の観察期間が必要となる。
「KEY WORDS」機能的MRI/BOLD MRI/低酸素/T2*値
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。