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特集 CKD診療のトピックス

SGLT2阻害薬の腎保護作用

森克仁

Pharma Medica Vol.36 No.1, 17-22, 2018

昨今の糖尿病治療,特に経口血糖降下薬の進歩は目覚ましく,DPP-4阻害薬の登場により,低血糖を生じにくい「質のよい」血糖コントロールも可能な時代に入ってきた。そのようななか,新規の薬剤として,sodium-glucose cotransporter(SGLT)2阻害薬が上市された。当初は,尿糖排泄を促進することにより高血糖を是正するため,肥満の2型糖尿病症例に適していると考えられていた。実際,食事・運動療法が厳守されている症例では,血糖改善とともに体重減少作用が認められ,糖毒性解除によると考えられるインスリン分泌能・インスリン抵抗性改善作用も示されている。その反面,その作用機序より,ケトアシドーシス,脱水,尿路・性器感染症などの危惧もあり,わが国では慎重な使用が推奨されたこともあり,総じて重大な問題がなく経過してきたと考えられる。一方,当初の予測をいい意味で裏切られる大規模臨床研究の結果が次々と報告されている。心血管イベント抑制効果や,本特集のテーマである腎保護作用など,後追いで,その作用機序の解明が進められている。本稿では,SGLT2阻害薬について,特にその腎保護作用に焦点を当て概説したい。
「KEY WORDS」SGLT2阻害薬/尿細管糸球体フィードバック/糸球体過剰濾過/eGFR

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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